生活の協同化

 生活の協同化とは、小にしては隣組、大にしては町内または部落、更に、一市一郡といふやうに、生活のある部分を、協力して築き営むことであります。協同献立、協同炊爨、協同託児所のごときがそれであります。これは、もとより、能率に関係があり、生産力拡充には最も必要なことでありますが、一方、国民の性格訓練としても、是非とも励行したいものであります。そこからは、現在われわれの社会生活に最も欠けてゐる秩序の美と力とが養はれるでありませう。更にまた、日本人は、元来、人と一緒に働くことも遊ぶことも不得手であります。そのために、われわれの能力と価値とが百パーセント発揮されてゐないのが偽らぬ事実であります。そればかりではありません。生活の楽しい協同化は、ゆがめられた日本の家族主義を、健全に建て直す唯一の道であります。 この新しい生活から、真に希望とよろこびとが生れたら、その時こそわれわれの生活力は幾層倍かに高まり、初めて戦に臨み得る体制が整ふわけであります。 そして、これこそはまさに、国民自らの手で完成すべき大革新であると同時に、また、これが日本人の生活の本来のすがたであり、そこにこそ、ほんたうに日本的な道徳と、科学と、芸術との偉大な根源があるのであります。 わが遠き歴史が、われわれを教へ導いたのはたしかにそれであります。 私は、国民の一人として、もう一度、同胞諸君に愬へます。 われわれが、われわれの力によつて、今直ちになし得る国民としての戦備は、われわれ自身の生活の建て直しであります。 生産力拡充のために、 消費の合理的規整のために、 体力増進のために、 元気を振ひ起すために、 そして、それらが、いつまでも続くために、 生活の単純化、協同化、明朗化を、今すぐに実行しようではありませんか。 日本人の生活の黎明は、すなはち、わが光輝ある国体の顕現であり、また同時に、八方の敵を慴服せしめる一大威力であることを、お互にはつきり自覚いたさなければなりません。(昭和十六年八月)

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